2022年12月1日木曜日

制作記.ランス4


私が制作に係わったゲーム(14)
思い出メモ


発売日 1993年12月
価格  8500円
ハード PC98

監督.ゲームデザイン.TADA
サブ.ぷりん
イラスト.YUKIMI






闘神都市、ランス3
どんどん良い物が作れるようになってきた

スタッフが増えた
自分達のノウハウ、技術力も溜まってきた
あれもこれも出来そう

より高みを目指した
もっと凄いゲームを作ろう

緻密なマップ
マップ1マスの解像度は・・
闘神都市は16*16ドット
ランス3は32*32ドット
そして、今度は・・思い切って64*64ドット

ユニットアニメの演技
これだけの解像度なので、ちょっとした演技も可能だ
ユニットを動きまくろう
 ※幻影都市などに影響受けてます

256色対応
16色しか出ないハードは、一部モノクロ表示になるけど・・
基本カラーを減らして出来るだけアナログで綺麗な絵する

FDD10枚ぐらい
大作だ、大作
やれるだけ盛り込もう

設定の一部をぷりんに任せる
絵だけでなく設定面でも良いアイデアを出してくれるぷりん
彼に世界観設定の一部を任せる事にした
より濃くてカッコイイ世界観を目指す

他にも・・
進化したタクティカルバトル
パーティの切り替えシステム、多数のアイテム管理
など・・やりたい事いっぱい、ヤル気満々で作った

作った・・

作ろうとした・・・

しかし・・・うん、背伸びしすぎた




動かない・・・


当初の予定では、こんな感じのフィールドマップを
闘神都市やランス3みたいにスクロールして歩ける予定だった
9*7マス、ほぼ全画面で見映え最高のはず


が・・開発中盤になりプログラムが動くと
それは、凄く遅く・・
凄く波打つ・・
のろのろ、ゆらんゆらん
プレイ出来た物では無かった

TADA「なんとかならないの?」
プログラマー「マップの表示範囲を減らしたらいけるかな?」


表示範囲を減らした
7*5マス

まぁ、これまでのランス3とかと同じような範囲だ
ただし、1ユニットが64*64ドットなので情報量は少ない
が、まぁ、しかたあるまいと妥協

だが・・しかし
それでも遅くて遊べる物では無い
動きは、のろんのろん、ゆらりゆらり・・
高スペックのパソコンならプレイ出来たが、さすがにインテル486以上とかこの時期に無茶すぎ
しかたない、もっと表示領域を減らそう

これ以上減らしたら視認情報が足りないけど
横に全体マップを置いて、それを横に見ながらというプレイという事で・・

3*3マス
・・・おっ、なんとか動いた

て、こんなのプレイできるかーーー
一寸先は闇じゃねぇか

マップチップを32*32に変更したらランス3なみに動かせるはずだが・・
すでに64*64で大量に作っている、アニメパターンも作っているし・・

・・・はぁ、どうするよ

結局、スクロールするマップを諦めて
ランス1,2の頃のスクロールするマップが作れなかった時代に苦肉の策で作った
色塗りマップを再び使うという先祖返りとなった
↑これ、ランス1のマップ画面

↓うう、再びこの形式を使う事になるとは・・・ランス4のマップ画面
※といいつつ・・これはこれで好きなんだけどね

さて大きな変更があったので、
当初予定した展開やプレイイメージは破綻
マップ、ゲームの流れも全部作り直し
それにともなって各種イベントも作り直し

他にも・・
当時のゲームスクリプトは、配列変数すら無かったので
プッシュポップを使う事で疑似配列みたいな物を使って(アセンブラみたいだ)
無理矢理、大量のアイテム、キャラクターなどを使えるようにしたけど
スクリプトが複雑になりすぎてバグがわさわさと・・・

出来ちゃったからと選択肢の位置が動くとかの処理も入れたりもしたが
使い勝手悪いだけでした・・・



入らない・・・


入らない、入らない、無理にねじ込め・・
とあるお坊さんはそんな事を言いましたが・・入らない物は入らない

当時はフロッピーディスク
パソコンには2台それが付いているので
基本的に、フロッピー2枚の容量がゲーム全体の容量制限です

ですが、それでは足りないので
途中でフロッピーを入れ替える事で大容量のゲームを作っていました
その際、
出来るだけフロッピーの入れ替えは場面展開やシーンが進んだ時にする
画像や音楽データは、それに合わせて必要数を調整する
難しい場合は同じデータを別のフロッピーにも入れる

この配分をうまくやらないと
戦闘する度にフロッピーの交換が発生したり
表情変化が起きる度にフロッピーの交換とか
とてもプレイ出来た物にならないのだ

ある意味、パズルのような作業でフロッピー内の振り分けをする事になる
これをココに入れてとか・・、もうむっちゃ時間がかかる


ランス4の時・・・ 16枚くらいになっただろうか
自分の脳内キャパを越えて手に負えない・・
どう配分しても、どこかで変なフロッピーの入れ替えが発生する・・
デバッグ中にシーンを書き換えると、それでまた変わってくるし

やってられるかーーーと
結局、初のHDD専用にしました
時代的にまだ早いのは分かっていたのだけど、
そうした
もう頭パンクするから
無理だから
かんべんしてーだから

HDDに入れる事になると重複データはなくなるので最適化して11枚になったかな
同時期、同業者もこの事は苦労していたし限界ラインだったのと思う


まぁこうしてランス4は、なんとか完成したが・・
少し問題がある出来になってしまった

バグは・・・いくつかある、おかしい所がある

イベントの流れも無理がある
なんか継ぎ接ぎだらけなのは・・バレバレ

プログラムも無理強いで作った物なので安定度が低く・・
Win版に移植も難しかった
・・・動いているけど、やっぱりおかしい所がある

てな訳で、今現在
ランスシリーズの中で唯一プレイ出来ない物になっている






と問題ばかり書いてきたけど、
ランス4には、よかった所もいい所もいっぱいある


色合い・・
ぷりんがパレット配色を決めたんだったかな、渋くて大好きである



個人的にはアニメちっくのビビットな色合いはより
こういう暗い色合い、または淡い色合いが好き


Yukimiさんの絵が素晴らしい
この時の絵柄が一番好き、どの女の子も可愛い、いいムチムチ具合


ぷりんの絵もカッコイイ
男キャラとかメカとかいいわ
むさい所がいいよね、




ストーリーも設定、キャラなど
聖魔教団側の設定はぷりんが作った
マニュアルにある長い設定資料も書いている

そうそう、ランスシリーズにドラゴンの要素が入ってきたのはこの頃かな
私はファンタジー定番を毛嫌いしていたので避けていたのだけど
ぷりんが設定を作ってどんどん既成事実にして出して来た

ドラゴン的な存在は当然必要となったので、何か作っただろうけど
悪のりする自分達だと・・
すもうとかを最強生物的な存在として君臨させていたかも・・
丸い物>ドラゴン>人間では無く、そこにすもうが、魔王アベルも・・
うん、ドラゴンでよかったね、カッコイイのも大事






ゲームの設定や、作りは複数の人の趣味、思いが混じるのは大事
1人のセンスだと限界があるからね

あてな2号の性格というか口調などはYukimiさん
私は、ちゃんとした性格というか普通のアンドロイド娘っぽくイメージしていたのだが
こうしましょうよ、こうじゃないと、あんなバカに・・
うん、実に変で個性的で使いやすいキャラになった、バカ可愛い
このポエムすき、かわいい
これは織音が考えた物


アリスの館のスタッフコーナー、懐かしい名前がいっぱい


そうそう・・元は違う物語を作る計画もあった
ランス4-鬼畜降臨-
こういうタイトルだったと思う
ランスが現代日本に転移して・・大暴れという
そう、ダンバインのあの展開に憧れていて・・やりたかったんだよな
結局、これはランス10でちょこっとやった

うーん、ランス4
リメイク欲しいような、みんなにプレイして欲しいような、見て欲しくないような・・
そんな作品です