私のアリスソフト史１７(2012-2014)

２０１２年　－－－－－－－－－

エロゲーが売れなくなってきた

完全な衰退期に入った

エルフは解散した

エロ抜きでも勝負出来るメーカーは一般ゲームへ鞍替えした

実力のあるライター、絵描きは、ラノベ業界に向かった

まぁ、同じようなエロゲーばかりで

進化も変化も無くなった

エロ絵だけならインターネットでいくらでも見れるし

一本道ＡＤＶ、それならラノベやアニメが手軽となるのも当然

時代についていけなくなり飽きられてきたのだ

あんなにエロゲー大好きだった自分も

よほど有名なタイトル以外はやらなくなったし・・

エロゲー雑誌を熟読する事も無くなった

私も飽きていた

が、他社のエロゲーには飽きたが

その分、欲しいエロゲーは自分達で作るしか無い

エロゲーを作るという意欲は、まだまだあった

２月、ランスクエストマグナム

企画、ＴＡＤＡ

原画、織音

価格、２４００円

ランスクエストを発売後、少し余裕が出来た（部長も降りたし）

で、じっくりとランスクエストをプレイしていたら

自分のＲＰＧ感が変化していたというか

アップデートされずに古い感覚のままだった

そんな事に気が付いた

そんなこんなも有って追加キットを開発する事になった

おおーーー、初めての追加キット、こういうの作りたかったんだよ

　光栄のゲームとかあって、いいなぁと思っていた

　信長の野望　パワーアップキットみたいなの

前は忙しくて自分でもデバッグ不足だったのだが、

今回は徹底して自分でもプレイして調整した

こうだったら面白い、こんなやり込みをやりたいとかで

そういや、マグナムというタイトルは良いのが思いついたよね

実に語呂が良い、次弾装填て感じだし、かっこいい

もちろん、もう一本追加キットを出していたら、ランスクエスト・ファントムだね

ランスクエストマグナムを発売後も・・

何度か追加シナリオや改造などでアップデートを作った

ユーザーさんと一緒になってゲームを作っていく感覚というか

反応がすぐ分かる環境というのはやりがいがある

９月頃まで、そういうアップデートを作ったかな

こんなｗｅｂページも作ってユーザーとの交流を楽しんだよ

退職後に完璧版となるｖｅｒ３．８６を作ったよ

ランスクエストをプレイさせる方はぜひコレでやったね

→　２０１９年１１月のブログ

９月、母娘乱館

企画、風麟

原画、ＭＩＮ－ＮＡＲＡＫＥＮ

定価、７５００円

安定の風麟ライン

いつもの奴です

もみあげルパンＲ

ここまで名前を出して無かったかと思いますが

あっちこのゲームでテキストを書いてくれているライターです

私と一緒に仕事をする機会はあまりなかったですが、風麟やＨＩＲＯと各種ゲームのテキストを書いてくれた縁の下の力持ち

ただ・・彼もこのあたりで辞めたはず

ダイズころがし

変わりにこの頃、入って来たのが彼

ぱすちゃ３から参加して、ランス０１，ランス０３、ランス１０と次々にやって

最終的に超昂大戦のディレクターになったよ(2022現在)

ＴＲＧ畑から来たからサイコロっぽいペンネーム

いってんちろくといいサイコロ好きが多い事は実よいな

俺もサイコロは大好きだ

ふみゃ

彼女もいろいろなゲームでちょくちょくライターしてくれた

結婚して３人の子供を育てながら

アリスブルーブランドを作り指揮したり

アトラク、学園ＫＩＮＧ、王子様シリーズ、闘神都市３なども作ったし

凄い人だよね、パワフルだ

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２０１３年　－－－－－

このあたりからパソコンもソシャゲーの時代になっていく

ＤＭＭで艦コレ、アイギスが始まる

私も喜んでプレイしていたよ

やっぱ、基本無料というのか大きいよね

８８００円とかの大金を出した上、当たり外れがあるゲームより

とりあえず無料で出来るのがあれば、そっちやるわ

パッケージゲームに先行き暗いなぁ

なんらか次の道を探さないといけない・・

開発部長のＨＩＲＯと共に、いろいろ道を探っていた頃です

何もしてなかった訳じゃないんだよ

動いていたんだよ、アリスソフトも

２月、ぱすてるチャイム３

企画、ＨＩＲＯ

ゲーム、魅月

原画、おにぎりくん

価格、８８００円

東京開発チームが総力を挙げて作り

予定よりちょっと遅れたが無事に完成

後は発売を待つだけという時

・・・トラブルが起こった

発売日の２週間前

ゲームデータがネットに流出

うわわわわわわわーーー

何がキツって・・

正規ユーザーさんは、まだプレイ出来ないのに

違法ユーザーの方が先にプレイ出来ちゃうという状況

このネット時代に２週間のズレは致命的

あわてて、発売日を１週間前倒した

対処に当たったＨＩＲＯは胃がすり切れんばかりにキツかったと思う

そうそう、このぱすちゃ３から主力商品の価格を８８００円にした

私の自己満足の拘りで８５００円にしていたけど、そんな事をしている場合じゃないしね

開発部長ＨＩＲＯの判断で業界標準価格としました

６月、どらぺこ

企画、よーいちろー

原画、八重樫南　　外注

価格、７５００円

クゥがきたぞー

クゥが、クゥだ

正直、前回の「まんくちゅ」はいまいちだったが、これは好き

よーいちろーはこの路線が突っ走って欲しい

ＡＤＶなんだけど、変なイベントマップがあったり

ゲームオーバーを集めるとかいう変なギミックがあったりで実に良い

９月、ランス０１

企画、いってんちろく

原画、魚介

価格、４８００円

大帝国を仕上げてくれた恩人、いってんちろく

まんくちゅで俺好みのサブキャラ（ロリ）を描いていた、魚介

私のお気に入りの二人にランスを任せた

むっちゃ良いリメイクを作ってくれたよ

もーーーうれしいよ！！

また、旧パッケージとそっくりな物も作ってくれた

そうそう、このキャッチコピーは「父親が遊んだかもしれないエロゲー」いいよね

うわーん、自分の歳を実感しちゃう

妹尾雄大　退社

当社のメインプラグラマーの彼が退社した

親の介護が必要になり、本人も眼精疲労が激してもう無理と

ｓｈａｄｅ　退社

１年前になるが、音楽チーフの彼も退社した

体調を崩し半年ほど出社出来ない状態が続き、このままでは会社に迷惑をかけるからと

この他にも退社するスタッフもいた

若い頃から夢中でゲーム造りをして、無茶した結果、身体を壊した者

親の介護や、実家を継ぐ為とか、中年ならではの理由なども増えた

ちなみに、この二人とも今は別の所で大活躍している

妹尾雄大

ＶＲ関係の株式会社HIKKYという所でＣＴＯ(最高技術責任者)になっている

彼は架空美少女と暮らす事を夢見てプログラムしてきたから、一番の理想地に辿り着いた感じだね

やったねー

ｓｈａｄｅ

フリーの音楽制作者として活躍しながら

同人ソフトも作ったり、若いクリエイターの支援をしたりで楽しくやっているようです

今も外からアリスソフトを応援してくれているし、良い関係です

他にも、アリスソフトを辞めた人で

アニメの監督になった者や、声優会社を作った人とか、ラノベをあてたはちまんとかいる

辞めた人がその後、どうなったのか一覧で知りたいね

そこそこ何かやって成功している人も居そうだよね

後、辞める人もいたら、入る人も居て

アリスソフト自体、人の循環が早くなってきたかな

社員総数は、いつも一定数なんだけど

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２０１４年　－－－－－

イメージエポックから３ＤＳ、闘神都市２が発売されました

おお、うれしい

アリスソフトのゲームは、いくつかゲーム機に移植された事があるんだけど

私が企画担当したゲームは何故か無くて、この闘神都市２が初めてだった

・・でも、こんな古いタイトルで良いのですか？と聞くと

向こうの社長さんが、社内のスタッフにＲＰＧの基礎を学ばす為にも

お手本として闘神都市２を移植したいとか言われて・・うわっ、照れると・・

実際には、この３ＤＳ版の闘神都市２，私も最後までプレイしたけど

自分達が作ったよりずっと良いＲＰＧとして作られており

私自身がＲＰＧを作る上で勉強になったよ、で、次のイブニクルに反映させたよ

・・が、この３ＤＳの闘神都市２は、かかったコストほど売れなかったようで

また、イメージエポックさん他にも手かげたプロジェクトがうまくいかずに

急速に壊れていき・・・いや、ゲーム会社経営って難しいなぁと

ちなみに、この後でる事になる闘神都市のソシャゲーは

３ＤＳ版での赤字埋めでどうしても出させて欲しいという事で・・・

４月、ランス９

企画、ぷりん

原画、織音

定価、８８００円

監督、ゲーム部分、メインストーリーは、ぷりんが担当

で、私はランスと女の子達のシーンを作ったゲームです

ゲーム全体もママトトというゲームのセルフオマージュのような作りになっていますが

私とぷりんの担当も当初とほぼ同じ形で作った物です

ほんと、サブでの開発参加は、精神的に楽で良い

７人のヒロインとエロシーンは頑張って考えたよ

もう正直、だいぶ枯れちゃってきていたのだけど

必死で絞り出した、最後のエロ妄想をと・・

ピグかわいい

開発部長の変更と東京事務所の閉鎖

４年前の２０１０年

私は大帝国の開発に行き詰まり、また組織運営もうまくいかずに

精神的疲労が限界にきてしまい

開発部長のＨＩＲＯに変わってもらった

で、私は開発部長から外れる事で重荷も減り

ランスクエスト、ランス９と楽しく作る事が出来て

気持ち的に復活出来た

が・・変わりに責任を負ったＨＩＲＯは、

エロゲー業界を巡る現状の先行きの暗さ

頼りにしていたスタッフの退職

東京、大阪の開発チーム間の不協和音

・・これは、広報を東京に置いた事で、広報ｖｓ開発という軋轢も生まれたのもある

追い打ちでぱすちゃ３の流出事件も

リーダーは変わっても問題は解決した訳じゃないので、同じように苦労する事となる

で、２０１３年の「ぱすちゃ３」発売後ぐらいから、限界にきて

鬱状態となってしまい、働けなくなった

結局、その後、１年以上に渡って休職する事となった

なので、私が４年ぶりに開発部長に戻ったのだった

ＨＩＲＯ、君のおかげで私は休む時間が取れた

今度は君が休んでちょうだいと、俺がんばるから、こんな感じになった

後、東京事務所も解体とした

ＨＩＲＯがいつ復帰出来るか分からない状態で維持する事は不可能だった

７月、エスカレイヤー・リブート

企画、ＨＩＲＯ

原画、おにぎりくん

価格、８８００円

ＨＩＲＯがダウンする前にほぼ設計は出来ていたので

残った東京のスタッフがなんとか発売にこぎつけてくれた

ただ、もう少し思い切ってもよかったんじゃないかなぁと

オリジナルと企画、原画の担当者が同じなので、あまり違いが無い・・

ランス０１のようにメンバーを入れ替えて印象を変えた方がよかったのではとか

いや、オリジナルのままが良いという人もいるしなぁ、難しい所

１０月、ぶれいどブライダーズ

企画、イマーム

原画、ＭＩＮ－ＮＡＲＡＫＥＮ

価格、８８００円

久しぶりのイマーム企画、２００３年の大番長以来だから１０年ぶり

昔は、開発ローテションの一角として次々と作ってくれていたのだけど

不調というか時代とノリが合わなかったというか、なかなか新作が作れない状態が続いた

戦隊もの、宇宙侵略者と戦う、バカゲー、一夫多妻制、堅物主人公

イマームが作れば面白くなるだろうという素材だったのだけど

なんかチグハグだったのか・・イマイチな結果になった

アリスソフトのバラバラ感

社内のあいかわらずだった

大帝国がうまくいけば、まとまる事が出来たかもしれないが

それも出来なかったので・・・

象徴的な例としては・・

これらは、全て同時期に開発しているのだが・・

全てタクティカルＲＰＧなのだ

あのチームがするなら、俺達は別の作ろうとかならずに・・ぶつけてくる

さらに、ゲーム部分の使いまわしは無く、全て新規ルーチン

プログラマー、ゲームデザイナーも別でノウハウの共有とかも無し

この規模の会社でまったく無駄すぎる開発である

泣けてくるね

それを諭して止める事が出来ない自分に

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手をこまねいていた訳ではないんだ

この２０１０代前半

エロゲーは衰退していき、ガチャゲーやラノベ、同人ソフトが伸びてきた

エロゲーは、いずれ商売として成り立たなくなる

それは分かっていたので、なんらかの手を打たねば

ソシャゲー、ガチャゲー

私もだいぶ研究した、自分でも課金してみたり、作っている人と相談もした

結果、自分達には無理と判断

その理由に関しては書くと長いし、ソシャゲーの否定になっちゃうんで

また、今度の機会に

後、ソシャゲーに関しては、この2014年の段階で

もう遅い、今更作っても間に合わない

最初にユーザーを囲ったゲームが勝ち、後からは参入できない

それに一時的に熱病のように課金しただけで、みんなすぐに正気に戻って飽きるだろう

なので、何かするなら、この流れに後追いするのでなく、この次に流行るような物を探すべきだと

　　そう、まさか、今(2022)もガチャガチャが続くとは思ってなかった

まぁ、そんな感じで、自社でガチャゲーを作る事はしないけど、

何か手はつけないとと・・・

１．海外展開

なんとかｓｔｅａｍとかで売れないかなぁと調べはしたが・・

エロの基準がどうも曖昧で・・

不確定要素が大きすぎて動けなかった

２．アンドロイド版

アップルもアンドロイドもエロの販売は出来なかったのだが

楽天がアンドロイドで自社マーケットを作る（エロＯＫ）と言う事を聞き参入する事にした

アンドロイド版でランス０１，エスカレイヤーとかを開発

専用タイトルで「にょ」も作っていたが・・

楽天、すぐにアンドロイドマーケットを諦めちゃって・・・

３．ガチャゲー計画

ＩＰ提供ぐらいでロイヤリティも貰うくらいだったらしてもいいかなぁと

当社ＩＰに興味を持って提案してくれるメーカーさんも何社かいたし

「アリスソフトの大ファンです、凄くいい物を作ります」

とか言ってくれていたのだが・・

結局、こりずに３社ほどとやっていたかなぁ

どれもうまくいかなかった

４．ＨＴＭＬ５

ＨＴＭＬ５がいろいろ出来ると聞き、ＡＤＶとか作ってみる

ある程度作れるのは分かったのだが・・・

結局、これを収益に繋げる方法が見つからなかった

５．ネットワーク関係

ランスクエストや、ダンジョンアンドドールズで

ネットワーク機能を実装、データ集計などを試してみる

が、ＤＬＣ（ランスクエストマグナム）みたいなのは、この時期はまだ忌み嫌われていたし

無料が存在するガチャゲーには到底勝てない

６．同人ソフトや低価格ソフト

こちらの道も探ったが、もうアリスソフトは図体が大きくなりすぎて

開発速度も遅くコストが合わない

などなど・・・

この前後数年は、いろいろ考えたり試していた

何かひとつでも成功すれば・・・と

だが、結局、ぜーんぶ駄目だった

今だから分かるけど、中途半端だった

本業を捨てきれず、一部の余力だけ（失敗しても大丈夫な範囲）で新しい事をしようとするから

成果が出ない

当面の赤字は覚悟して主力スタッフも突っ込んで

背水の陣で挑んでいたら、どれか違っていたかもしれない

もちろん全滅していたかもしれない

これって、今の多くの日本企業にも言える事だよね

既存の事業を捨てる事が出来ずに、変化に乗り遅れてしまう

こうなったら開き直って・・

衰退する市場でも、撤退せずに最後まで残って

ニッチ市場独占で生き残る

こういう道もあるよなとか・・