私のアリスソフト史１６(2009-2011)

　　　沼　　　沼　　　ずぶずぶ

２００９年　－－－－－

もう、こんな所まで来てしまった

２月、ばにしゅ！おっぱいが消えた王国

企画、よーいちろー

原画、月餅

価格、２８００円

これは良い、エロバカゲー

よーいちろーのセンスは好きだわ、この調子でどんどん作って欲しい

ただ・・・ちょい貧乳過ぎ

よーいちろー(ロリコン)と風麟(妻スキー)を混ぜて１／２にしたら

丁度良いエロ性癖と思うのだが・・・

大帝国の開発中・・・１

第２次世界大戦、ＳＦ艦隊戦、大怪獣

私の好きな要素てんこ盛り

いけるぞー

一致団結して超大作を作り上げて

ゴタゴタした社内空気を吹き飛ばそう！

俺なら出来る、開発部長として俺がやらねばいけない

ネタも意気込み十分

超昂ハルカが終わって東京チームが合流してきた

初の大阪組、東京組の合作なので

リーダーである私が大阪なのでバランスを考えて

主軸の日本と主人公周りは東京チームに振り分ける

闘神都市３が終わりさらにスタッフが大量に増えた

大丈夫、いけるいける

多くのスタッフが活躍出来る場を作る事が肝心

複数の国家陣営をそれぞれ原画、シナリオ担当に振り分ける

文明の個性を出す為に軍艦のデザインも複数のスタッフに振り分けた

担当分があると愛着とやりがいを感じてもらえるはず

いける、いける、大丈夫

指示しないといけないスタッフが多いけど大丈夫

いける・・・

いける・・・

エイプリルフール企画

この前後数年、Ｗｅｂサイトでのエイプリルフールネタが流行った

アリスソフトも積極に参加して遊んだ

ただ、最初はいろいろ変な事をして楽しかったのだけど

だんだん、どこも嘘企画（嘘ゲーム）みたいな物ばかりになって廃れちゃった

　

やりたいと思っていたネタ

どこかの同業エロゲーメーカーと組んで合併ネタ

スクウェアエニックスみたいなノリの２社が企業合併するビジネスぽい感じの

双方のＷｅｂサイトで同時に合併しました、と社長同士が手を繋いでいる写真とか記事

うちだったら、ライアーさんとか、キャラさんとか

・・・奥手で友達同業社いなかったから出来なかったー

日記を見ていたら、この時期、ソフリン関係でも何かあったらしく

いろいろどこかに行ったりしているな

この忙しいのに何故にと思ったが・・現実逃避的な行動だったのかも・・

大帝国の開発中・・・２

この頃、ほぼ８割のスタッフが大帝国の開発に参加していた

意気込んで開発に望んだ私だが・・早くも息切れ

「部長、次の指定下さい」

「部長、ここどうすればいいですか？」

・・・うわっ、待って、待って‥待って・・

ちょっと追いつかない

ああ、任せる、なんか考えて　その場しのぎ

うっ、それ・・なんか違う、

うーん、ここイマイチだな

しかし、スタッフがだいぶ作業進めているしリティク言いにくい

それに作り直して時間なんて無い

なんとか調製してこのまま進めよう

この開発は、これまでと何かが違っていた

私のゲーム作りはスクラップアンドビルドなのだが

それが出来ない、立ち止まって作り直している暇がなく、

とにかく次に進まないといけない

問題が先送りになり、どんどん取り返しの付かない形で溜まっていく

チェーンの外れた自転車を死にものぐるいで漕いでいる感覚

止まってチェーンをはめ直せばいいのに、その時間が取れない

会社の総力を挙げた開発

決して失敗出来ない開発

大きなプレッシャーになっていた

そして私も４０代になっていて

無理無茶でも突き進めれた２０代のようにはいかなかった

キャパシティ（仕事量、管理する人数）がオーバーした

　※　当時は頭真っ白だっただろうな

こんな私をみかねたスタッフから

「部長、ちょっと落ち着いて下さい

　僕らは、大帝国の開発から離れて何か作っていますんで

　その間に立て直して下さい」

そうして、私と数名を除いてスタッフの多くはアリスの館の開発に移った

「みんなありがとう、甲斐性のないワシですまんなぁ」

「もう、おとうちゃん、それは言わない約束だよ」

てな感じです

こうまでして時間を作ってもらったのだ、がんばらねば・・と

さらに追い込まれていくのであった

７月、僕だけの保健室

企画、風麟

原画、Maruto!　（外注）

価格、２８００円

安定の風麟ラインのゲームです

ほんと助かる・・・

９月、ももいろガーディアン

企画、はちまん or ＨＩＲＯ

原画、うろたん　(外注)

　

これは開発経緯がややこしくて、当初、はちまんが進めていた企画だが

彼が退社して中に浮いた状態になっていたのだが

ＨＩＲＯがなんとか完成までこぎつけて出した商品だったかな

とりが退社した

チャンピオンソフト時代から共にアリスソフトを作って来た中心メンバー

　ランス６、大悪司などのテキスト
　企画監督品、デアボリカ、ＡＬｉｖｅＺなど

一緒に開発していて、ほんと頼りになる存在だった・・ショックである

彼女も悩んでいた時期だったと思うが、

私も余裕がまったく無く引き留める事も出来なかった

へたくそ棒（車の左端前面に付いているポールマスト）

この頃、ふらふらしていたんだろうなぁ

実家の玄関階段で転けて車にぶつかった

その際、へたくそ棒に首から落ちて・・やばかった

へたくそ棒に首を刺し抜かれて死亡

こんなニュースにならなくて良かった

　

１２月、アリスの館２０１０

企画、みんな　（ＴＡＤＡ以外）

価格、８５００

私が大帝国でズブズブの沼にはまっている中

スタッフがなんとか年末商品を出さねばと仕上げてくれた物

はるうられ

新しく監督候補として入社したいってんちろくが制作

システムゲー好きというか、レイアウトとかが好きなエロ男

この時期には、企画監督が出来そうなスタッフを集めるのが難しくなっており

久々に現れた希望の星である

ランス０２

織音が中心で作ったリメイクです、

いや、リメイクというより絵関係だけ新しく差し替えた物です

　

ちょー、まって・・昔、私が作ったゲーム部分とテキストそのまんまなんて、なんて羞恥プレイ

しかし、私抜きで出来る事を探してやってもらった事だしね、ありがとう

ちなみに、私は、この頃までリメイク商法には否定的でした

同じ物を作るなんて時間の無駄だし、それより新しい物、新作をすべきと

だんだん、もういいかぁ（旧作を大事にするのも必要だよなぁ）とか考えるようになってきたのも

心が枯れてきたからなのかもしれない

そんなこんなで・・私にとって地獄のような２００９年が過ぎ去る

ただ、ここでは辛い事ばかりクローズアップしていたけど、少し良い事もあったんだよ

この年の社員旅行は、浜名湖、うなぎパイの工場にも行ったぞ

後、ヨイドレドラゴン

とりが退社後、あわてて探したライター、テキスト書き

シナリオの応募スタッフは、彼より上手な人は何名もいたんだけど

だが、織音と２人でサンプルと履歴書を見ながら、うん、こいつだな、いいバカだと選んだ

いやぁ、ほんと良いスタッフが入ってくれたよ

このダメダメで何をしてもうまくいかない状態な時に

彼に出会えたのはほんと奇蹟みたいな幸運だった

そ、彼は‥年齢的には私と親と子ぐらい離れているんだよな

あぁぁ、そっか、もうそんな年になったのか・・

ていうか、アリスソフトがスタートした頃に産まれた奴かよ・・・・

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２０１０年　－－－－

年が明けたからって状況が改善する訳では無い

年末、正月、そんな物はない・・

泥沼を足掻き、掻き分けながら進む開発があるのみ

└|∵|┐　「月月火水木金金」

└|∵|┐　「雪の行軍、氷を踏んで、どこが野原かいざしれず

・・・・

アリスの館２０１０が終わってスタッフが戻ってきたが

うまく渡せる仕事は作れていなかった

・・・・やっぱ、駄目

個別には良い所がいっぱいなんだよ

良く出来ているんだよ

でも、全部あわさると　駄目　なんだよ

ああああああああああああああ

一から全部作り直したい

しかし、そんな時間は無い

１日、１日、会社は何十万とお金が消えて行く

休む事も、止まる事も、恐ろしく出来ない

進むしかない

これを中止をして、今から新作を作ったら

出来るのは何年後なんだ・・

それにそれがヒットするとは限らないし・・

ああ、会社がーーー

４０名からのスタッフの生活が・・

進んでも地獄、戻っても地獄

「責任取って辞めます」

なんて無責任な事を言って逃げたい

どうしてここまで失敗したんだ・・

多くのスタッフの意見をまとめられなくなった？

仕事量の多さをコントロール出来なかった？

エロゲー自体があまり好きでなくなってきていた？

老いて昔のように頑張れなくなった？

巨乳キャラばかり増えて嫌になった？

自信を失ってしまった？

社内の人間関係ゴタゴタで精神的にへたった？

それでも私を助けてくれるスタッフは多数いたのに

孤立感を感じていた

・・・・ここまでだ

春か夏頃だったか、幹部スタッフを集めて

「もう無理、タスケテ」と告白した

この頃の記憶は定かでは無い

どういう話をしたのか、何を検討したのか・・

自分の気持ちはどうだったのか

わからない

人間、あまりも辛かった事は記憶から消すらしいから

私もそうだったんだろう

この後・・次のように会社は動いた

１．開発部長をＨＩＲＯに任せた

私は責任職を降りた

心身共もう私には無理になっていた

２．大帝国をいってんちろくに任せた

彼が引き受けてくれた、火中の栗を拾ってくれた

もう後は、全て任せる

３．ランスクエストの開発に入った

私は大帝国からも、開発全体からも手を引いて

ランスクエストにだけ集中する事にした

４．リストラ敢行

アリスソフト初のリストラだ

一気に何人も解雇した

２０年に渡り社内に溜まった何かはこうするしか・・・

私は多くを手放した・・・

まさに白旗・・終戦である

１１月、しゃーまんずさんくちゅあり

企画、よーいちろー

ゲーム部分、風麟

原画、Ｍｉｎ－Ｎａｒａｋｅｎ

スタッフの大半を注ぎ込んだ大帝国が頓挫した為

販売出来る商品がほとんど無い

この年は、かろうじて・・この1本だけだった

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２０１１年　－－－－

アリスソフトの広報関係は、

東京事務所主導＆ＨＩＲＯが開発部長になり

私がやっていた時と比べてより積極的にいろいろ動いていた

• 自転車で九州から東京まで宣伝移動
• アリスソフト大放送、Ｗｅｂラジオ
• レーシングチームに参加
• 抱き枕作ったり

・・・私から見ると正直、？？？という所だが

私の考えが古いんだろうな、こういう目立つ作戦が大事なんだろう

４月、大帝国

監督、いってんちろく

価格、８５００円

私の手から離れて１年、いってんちろくが仕上げてくれた

当社に入ってまだ経験も浅い彼だが、ほんとよくやってくれた

私にとっては、命の恩人とも言える

ゲーム部分は、いってんちろくが新規で作り直した物だが

全体の展開、シナリオ、ストーリーは、私の方で作っていた物を

ベースに使えそうな部分だけ切り貼りして無理矢理作るしか無かったので

大変だったと思う

ユーザーさんも凄く期待してくれていたのだが・・

ごめんなさい、みんな私が不甲斐ない結果です

・・・

・・

・

ランスクエストの開発

どん底にまで落ちた私だが・・ランスクエストを作っていると

だんだん、気持ちを取り戻せた

あっ、そうなんだよ

俺、大規模ゲームを作る際、多くのスタッフの意見を取り入れて

うまく混ぜて完成させるのが自分の能力、力と思っていたけど・・

違うんだよ

織音、ぷりん、そして新しく入ったヨイドレドラゴンなど

気の合うメンバーとやる時だけうまくいっていたんだよな

・・というか、私に合わせてくれていたんだな

・・気が付くのが遅い

気の合うメンバーと作る、ほんと大事

７月、ランスクエスト体験会

発売を前に体験会を行った

大阪、東京にそれぞれ１０名ほどユーザーさんに参加してもらって

試みとしては良かったんだが、それをうまく受け取るノウハウというか覚悟がまだ我々には足りなかった

ユーザーさんにプレイして貰い、それを見ていたら

問題が見えたはずなのに・・

見て見ぬふりというか、「まぁ、出来ない人もいるよね」程度に受け取ってしまった

もう発売まで時間が無かったというのもあるが・・こういう事をもっとうまくやるべきだった

８月、ランスクエスト

企画、ＴＡＤＡ

原画、織音

価格、８５００円

自分が監督で作ったゲームは、２００６年の戦国ランスいらいの５年ぶりとなった

　間に闘神都市３は参加しているけど

やっとゲームが出せたよ

うれしかった

内容も自信があった

エロゲーＲＰＧとして決定版だと自画自賛

拡張性も高いので、ランス６や戦国ランスみたいに

追加シナリオをいっぱい作ってサービスサービスするぞーと

この、２００９－２０１１は、ほんと辛かった

２０年経過して会社組織も経年劣化した

エロゲー業界も衰退期に入った

私も若い頃ほどの無理が出来なくなっていた

これまで成功しすぎた、うまくいきすぎていた

多くの問題を先送りにしてきたツケだったのだ

２００９年（私４２歳）、２０１０年（私４３歳）

そうか、厄年か・・

迷信じゃなかったんだな・・厄払いちゃんとすべきだった