私のアリスソフト史１８(2015-2016)

 

２０１５年　－－－－

この頃の心境・・

はにほー

今やらねばいけない事をやろう

そうだ、ランスの完結だ

エロゲー業界は後数年しか保たない

売り場であるショップは無くなっていく

専門誌も廃刊になっていく

そうなると新作も作られなくなり衰退は進むと

　補足．

　エロは不滅なので、エロゲーも無くなりはしないが

　８８００円の高額なパッケージ商品が売れ

　エロゲー会社、エロゲー雑誌、エロゲーショップなどが多数存在していた

　そんな時代が終わりだろうなぁと

　当時の私は考えていた

最初のランス－光を求めて－は、１９８９年（平成元年）

まさにエロゲー業界が開花するタイミングに発売された

完結となるランス１０は、そのエロゲー業界の最後の大作

うん、そうだね、そんな感じに出来たら丁度良いねと

ランス１０の開発スタート

前年から準備だけは進めていたが

この年から本格的にランス１０の開発をスタート

大作にしたいので開発期間は長く欲しいが

エロゲー業界が無くなる前に出さないと

自分の体力気力もそろそろやばいので

２年後の２０１６年末に出来れば・・

最悪でも２０１７年中には・・

と考えていた

その頃のアリスソフトの開発体制

ＴＡＤＡチーム

イブニクルとランス１０の開発

いってんちろくチーム

ランス０３の開発

ＨＩＲＯチーム

１年間ダウンしていたＨＩＲＯも復帰して

超昂シリーズ第３弾となるエクシールを開発

風麟チーム

いつもの開発

その他のプロジェクト

ふみゃの新作ＡＤＶ

ダンジョンＲＰＧ

　

　後、他社とのガチャゲー提携もいくつか動いていた

４月、イブニクル

企画、よーいちろー

ゲーム、ＴＡＤＡ

価格、８８００円

世界全体をフィールドとして歩けるＲＰＧ

ドラクエみたいな奴ね

やっぱり、ＲＰＧ好き、ゲーム好きだと作りたいタイプだよね

ゲーム部分に関しては

これまで作って来たＲＰＧの経験や反省を元に

今の自分がプレイしたいＲＰＧを作った

やり込みという形で長時間プレイするゲームでなく

密度が濃く、無駄なく、気持ち良く遊べるバランス

１回プレイしたら全てを満喫出来るＲＰＧ

これまではＭＭＯ的なやり込みゲーが好きだったんだけど

自分も老いたのかストレスなく遊びたいよなぁと、そんな感覚になっていた

　ランスクエスト　＝　　ずっとプレイするＲＰＧ、やり込みタイプ

　イブニクル　　　＝　　１回で気持ちよく全部クリア出来るＲＰＧ

・・・ま、８割くらい作った地点で、ランス１０に注力しないといけなくなったので

最後は、むーみんに引き継いでもらったけどね

彼には、ほんと最後の最後まで尻ぬぐいを

よーいちろのシナリオもバカエロで良く出来ていて面白いし

私もこれまでのＲＰＧ作りの集大成みたいな形で出来て満足

お気に入りゲームの一つです

８月、ランス０３

企画、いってんちろく

原画、魚介

価格、８８００円

ランス０１を作ったメンバーが引き続き開発

今回は音声入りです

ランスシリーズで初の音声入りだよ

元のランス３をうまくアレンジして今風に、そしてよりエロく

特に魔王ジルと戦うあたりの設定は、おお・・そうきたかと感心

実に良いゲームに仕上げてくれました

ありがとう

彼女のエロシーンは大好き

で、このメンバーには、この後ランス１０の開発に合流して貰う予定だったのだが

次は自分達のオリジナルを作りたいと言われてしまった

気持ちは分かるが・・・ランス１０に君達の力が欲しいのだ

わがまま言うな仕事だから、命令だから、やれと言えない事も無かったが

さすがに私もいろいろ経験を積んで学習していた

本当にやりたい事、作りたい物、それをやらないとクリエイターは力を発揮出来ない

いやいやさせても駄目になるだけ

彼らにはオリジナル作品に挑んで貰う事にした

それだけの実力があるメンバーだしね

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さて・・・この２０１５年

会社の状況は、少し良くなってきていた

・・問題を先送り、見ないようにしていたというのもあるが・・

ランス１０の開発も順調に始まり

イブニクル、ランス０３も発売した、どちらも評判よかった

そしてＨＩＲＯも復帰して新作を作り始めている

が・・・私自身は問題が発生していた（赤信号点滅）

身体が壊れた

長年の不摂生、運動不足、そして近年のストレスか・・

自分の体調がかなり悪くなっていた

慢性腎臓炎（ＣＫＤ）になり

ちゃんとしないと人工透析になるぞと医者に脅される

体重も大幅に減って激痩せ

他の人から、どうしたん？と心配されるぐらいガリガリで

さすがに自分でもやばいと気が付く

目も見えずらくなり、２時間もモニター見ると限界

すぐに疲れて集中力が無くなる

冷房病なのか社内のクーラーが寒くて死にそう

物忘れも激しい気が・・（いや、これはずっとそうか

ランス１０の開発は気持ち的にはやる気満々なのだが・・

身体がついていかない

昔なら出来た事が出来ない（何をしても時間がかかる）

てな感じで・・やばくなってきていた

この頃から、普通に出勤するのも辛くなって（クーラーの事もあり）

在宅勤務を増やしてなんとか作業をしていた

さらに追い打ち！！

父が壊れた

自分の父親がこの頃から急におかしくなってきた

頑固になり、母にきつくあたり、

認知症というか、とにかく問題行動が多くなってきて

家族トラブル（親戚の込み）が発生

対応に追われる

むっちゃストレス

ああ、なんでこんな時期にもう・・・

自分も４８歳になっていた

健康の問題、両親の問題

そういうのが発生する年頃なのだ

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２０１６年

年が明けました

当時のデスク

１月、妻みぐい３

監督、風麟

価格、８８００円

いつもの風麟ゲー

えっと、書く事が無い

うむ、そう・・実は、ほとんどプレイしてない

だってわかんないんだ

否定している訳じゃないよ

これこそ、ザ・エロゲーだしね

私の嗜好範囲が狭すぎて・・・・抜きゲー、萌えゲー？？

開発部長として、本来なら

「いいね、今回も素晴らしくエロくて最高だよ」

と声をかけないといけないのだけど・・

まぁ、風麟もその事は分かっていただろうな

ちょい辛い思いをさせていたかもとか・・

いや、何も言われずに自由に作れてラッキーと思っていたのかもしれないか・・

魔女の贖罪は好き

特にあの幼女が実はやられていたというシーンは興奮した（おい）

ランス１０の仕様変更

この年もランス１０をせっせと開発開発

ただ、想定外の事は起こってくる

「あれ、ちょっと違うなぁ・・想像していた面白さが出ない」

途中でゲームシステムを作り直すのは、とても怖い

すでに作った部分が無駄になるし

開発時間のロスも出る

また、作り直した所で良くなる保証もなければ、やっぱり元の方がマシだったという事すらある

大帝国の時は、これを躊躇して、それが溜まりに溜まって最後に破綻した

同じ轍は踏まない

途中でバトルシステムは、根本から作り替えた

当初の企画は、もっとランダム要素の麻雀的なノリだっただが

普通のＲＰＧに近い形に変更した

他にいくつか作っていく上で気になる点

不安な点、これでよいのか・・まずくないかとか・・

いろいろ出てくるのだが、チームのみんなと相談しながら乗り越えていった

一緒にやってきた相性のいいスタッフとだから乗り越えれたのだ

ぷりん、織音、ヨイドレドラゴンなど

もし、０３チームが予定通り合流していたら意思疎通や混乱が発生して

大帝国の二の前になっていたかもしれない・・

・・はっ、もしかして彼らは、この可能性を読んで

まぁ、とにかく思い切って作る事が出来た

この２０１６年の商品は

風麟の妻みぐい３の１本だけでした

もう一本出すつもりだったダンジョンＲＰＧだが・・

こっちは頓挫してしまった

まぁ無事に完成したゲームもあれば・・

途中で中止になるゲームもあいかわらずあるのだ

単年度で見ると会社の業績的には厳しいが・・

まぁ、しかたない

ランス１０が出たら盛り返せる

・・盛り返せるはず

頑張ろう

最後の力を振り絞って作るのだー

もうランス１０の完成と同時に死んでも良いやくらいの気持ち

・・・ある日のアリスソフト

「やったー、マスターアップだ、みんなおつかれさん」とスタッフ達

「あれ、ＴＡＤＡさん、寝てるの？」

ゆさゆさ

「わー死んでる、ＴＡＤＡさんが死んでるー」

てな感じでランス１０完成後に机につっぷせるように死んでいるとか

かっこいいー、俺かっこいい、最高の死に様・・・なーんて酔いしれていたり

　いや、死ななかったよ、ぴんぴんしているよ　└|∵|┐♪

まぁ、それはともかく

ランス１０が完成して販売されて

　ユーザーさんに遊んでもらって

　　楽しかったと感想を聞くまでは

それまでは・・

地球は滅亡しないでくれ
日本は経済破綻しないでくれ
エロゲー業界は消滅しないでくれ
アリスソフトは潰れないでくれ

私は倒れるな、最後まで創作の意欲を失うな

と、そんな自分本位な事を考えたりはしていた

ま、これは、節目となる作品を作っているクリエイターはみんな思っている事だね