私のアリスソフト史６(1992)

ソフリンちゃん

１９９２年

昨年末に発生した沙織事件（警察のエロゲー会社摘発）の影響

いつ自分達が摘発され捕まるか分からないという状況で

業界各社は、びびりながら行動していた

モザイクを極端に大きくしたり

独自の１８歳未満販売禁止シールを付けたり

とあるエロゲー雑誌などは完全に腰が引けてほぼ撤退したり

陳列してくれないショップとかも出てきた

一気に肩身が狭くなっていた

ひゃー

この年はバタバタしていたよ

ソフリン関係や、ノンアダルトの模索など・・

開発以外の事で動く事が多くなった１年だった

闘神都市υ

闘神都市がヒットしたので、その拡張というか

ノンアダルト版として作っていました

本編の長さを約１．５倍ほどにした感じかな・・

第１部．闘神大会

第２部．優勝後

第３部．ＹＯＲＡの野望、浮遊大陸

確か、セガのメガＣＤとか意識していたような

知り合いのコンシューマーメーカーと提携しての話だったのか、

自社がダイレクトで出そうとしていたのか・・

自社でパソコン用で出してノンアダルトだからという事で移植期待だったのか・・

どういう趣旨で開発していたのか、あんまり覚えていない

・・他の事でも忙しかったから記憶が曖昧

Ｍｉｎ君にもイラストを描いてもらい、ちょこっと進んでいたが

なんか頓挫して中止となった。

この辺りもよく覚えていない・・

自分にとって都合の悪い記憶だから忘れているのだろうか・・

なお、この物語のネタは、ランス４で流用するので

まったく無駄では無かった・・と思いたい

Ｄｒ．ＳＴＯＰ

１９９２年４月発売

テキスト．とり

イラスト．ラッシャーヴェラクさん

私が作りたかった画面構成

テキスト主体で小説みたいな感じで挿絵としてイラストが入るタイプです

自分では文章力がなくそんなの作れないけど、とりさんならいけると

こんな雰囲気で作ってくれとシステム設計だけして作ってもらった物です

スーファミの「弟切草」とほぼ同じ時期の発売だね

なかなか、最先端で素晴らしいアイデアを出していたな俺

・・・嘘です

ＰＳＫから発売された「ザ・病院」にむっちゃ感化されていました

・・・内容も同じ病院ネタになっているし

アリスの館２

１９９２年７月発売

みんなで作った

前回のアリスの館でいけると思ったのかな、シリーズ化です

ディスクステーションやピンクソックスとか好きだったので

ああいうのをやりたいなぁという気持ちもあったかな

こういうミニゲーム集みたいなのは

スタッフ育成、新しいゲーム性のチャレンジとか出来るしね

作る方も気楽に動けるのだ

なぐりまくりタワー．ぷりんが初監督として作ったゲーム

もうパットン君は、すっかりぷりんの物

おかゆの逆襲．ランス３のバトルシステムでダライアス（？）

婦警さんＤＡ．私の作ったミニＡＤＶゲーム

他、アリスクイズとか・・・いろいろ

ＳｕｐｅｒＤＰＳ

１９９２年９月発売

どの辺がスーパーかというと

初めて２５６色専用で作ったんだよね（当時はパソコンゲーム＝１６色だった）

この熊、さすが２５６色だ、すげーリアル、凄い熊、くまくまー

とか言っていたなぁ

ＤＰＳシリーズとしては、久しぶりに私も１本担当した

「マリアとカンパン」

うん、パットンはぷりんにやるが、マリアは私のなのだ

ＤＡＬＫ

１９９２年１２月発売

ディレクター．ぷりん

アリスの館でミニゲーム「なぐりまくりタワー」を作ったぷりん

ついに、まるまる１本を任せました

彼の目指す正当派ファンタジーのイメージで作られています

モンスターやクラスなどオーソドックスな名称になっています

・・・ん、ゴットバイブ？？？

私は、何もしてなかった訳では無く

マップの設計、モンスターの配置、仕掛けとか、ゲーム部分の一部など

けっこうどっぷりやってました。

これまでメインの立場での開発だったけど、これはサブの立場だったので新鮮だったな

以降、ぷりんとは、メインとサブの立場を入れ替えてチームで動く事が多くなった

互いに足りない所を支え合えるいいコンビだったかな

私メイン、ぷりんサブ

　　大悪司、ランス６、戦国ランス、ランス１０・・・など

ぷりんメイン、私サブ

　　ＤＡＬＫ、ママトト、ランス９

１９９２年総括

この年、沙織事件関係で業界は大混乱だったが

会社の業績はとてもよかった

闘神都市、ランス３ですっかり知名度が作られ

東のエルフ西のアリスとか言われたし

うわっ、おこがましい・・　でも、うれしい

闘神都市υを作っていたが・・頓挫

ＳＦ－ＡＤＶについで２本目だね

まだまだ傷は浅いぞ

ソフリン関係で何回も東京を往復していた

新幹線の中ではフランス書院文庫をよく読んでいたのだ

私が動けない時に任せられる存在が出来たのは大きかった

ぷりんが年末商品ＤＡＬＫを担当した

後、社員旅行で初の海外に行ったよ。

パスポートも初めて作った

中国返還前の香港マカオ

いやぁ、凄いね、海外旅行だよ、海外！

うちの会社もお金持ちになったもんだ

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ソフトウェア倫理機構

ソフリンちゃん

沙織事件の後、我々は不安と恐怖の中に居ました

どういう恐怖かと言うと

・自分達がいつ「わいせつ」という事で摘発されるか分からない

・商品がいつ発売禁止になるか分からない

・わいせつの基準は無く、警察のその時の気分次第

そう、ルールが決まっていたら、その範囲内で作るんだけど

それが無いのだ

どうしょうかと相談しようにも、業界団体も無ければ、仲間内のネットワークも無い

　（インターネットとかも無い時代だからね）

エロゲーを扱っていた雑誌社も及び腰

そんな中、業界各社は

「これなら大丈夫かなぁ、ドキドキ」

としながら、過大にモザイクを付けたりして販売するしか無かった

どれだけモザイクを大きくしても、どれだけやばそうな表現を消していても

警察に摘発されないという保証はそれでも無い

当社も、自社で１８禁シールを作って

「これは、大人向けだよ、子供は駄目だよ」とか模索していた

しかし、このままでは駄目

いつまでもビクビクしながら作り続けるのは不可能

なんらかの我々を守ってくれる業界団体が欲しい

確か、ビデ倫とかに電話で聞いたかな・・「うちら関係無いし」と門前払いされたはず

エロゲーの業界団体が出来ないだろうか・・

誰か作ってくれないかなぁ・・

しかし、そんな動きも見えなかった

待っていてもしかたない

動こう

作ってとお願いしに行こう　

　　自分で作りますと言わない所が分をわきまえている俺

当時、パソコンソフトの流通会社やビジネスソフトの会社などの団体

パソ協力（社団法人日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会）

に電話する

パソコンソフトの流通関係の団体で、自分達とかろうじて関係がありそうなのは

ここがらしか思いつかなかったのだ

その結果

東京で開かれる理事会にゲストで参加させてもらう事になった

当時２５歳、オタク引きこもりコミショウの私

業界団体とかビジネスの場とか場違いで恐ろしいが・・１人で行ったのだった

パソ協の理事会に出た

そこでエロゲー会社の現状を語り助けを求めた

熱く語ったつもりだが、無茶苦茶だっただろう

しゃべり慣れてないし、かなりどもった

「このままでは、エロゲーは無くなります」

「ソフトウェア流通にとってもエロゲーの売り上げは大事なはずです」

「規制ルールとか作って下さい」

「なんとかして下さい」

とか、いろいろ・・

その時の理事長が、ソフトバンクの孫正義さん

「わかった、わかった、じゃ、ちょっとこちらで考えて、後で連絡するから」

てな事を言われたと思う

きっと「めんどくさいガキが来たなぁ、まったく忙しいのに」てな所だったのだろう

後日、パソ協から連絡があり

業界団体を発足する事になったので参加して下さいと

ソフリン発足準備

東京のとある事務所

４．５人のメンバーが集められていた

パソ協に所属して、なおかつエロゲーも販売していたＳさんが中心となり

ソフリン設立が進められる事となり

私も設立メンバーとして参加する事になった

ソフリンが設立するまで、何回も東京に出張する事に

これで新幹線での日帰りになれちゃった

設立メンバーは、みんなそこそこの年齢（３０－４０代）で大人というか各社の社長さん達だった

開発から参加しているのは私だけだったかな

そういう訳で、設立関係や、お金、社団法人、政治的な事などは分からないので

私は、もっぱら倫理規定の草案作りをやっていた

そう大事なのは　倫理規定　なのだ

自分達が作りたい物を守る為に

倫理規定とは・・

お上のみなさん、我々の団体は、この倫理規定のルールにそった中でエロゲーを作ります

なので、我が団体に所属するメーカーは捕まえないでね

まぁ、これです

自分達で自分達を縛るルールです

個人的な考えとしては、規制なんかほとんどしたくなく

１８歳未満は購入出来ません

大人（当然フィクションと現実の区別が付く）の為の娯楽です

影響されて変な行動しても自己責任です

ぐらいにしたいのだが・・

まぁ、そんな世間は甘くない

特に沙織事件などがあった後なので、こういう物を出しませんという形で倫理規定を作るしか無い

一番無難にお上に文句を言われない倫理規定と言えば・・

未成年はエロの対象にしません

学生服は出しません、ロリっぽく見える子は出しません。

犯罪行為、レイプ等はありません

女性は嫌がってセックスしません、みんな喜んで合意の上で行います

・・・・そう、海外のポルノビデオだ

グラマーなおねーさん（日本人的には年増に見える）が

「あはーん、うふーん、さいこー」とか言いながら

喜び悶えているだけの肉がぶつかりあっているだけのセックス

白い豚がまぐわっている・・（失礼ないいぐさ

その頃の印象なので、今どんな風になっているかは知りません

がーー、そんなのエロじゃねぇ

欲しいのはファンタジーなんだ

淫靡な物であり、心に刺激を与えるエロスなのだ

　

Ｘ学生がよいのだ、ロリで何が悪い

陵辱レイプとかドキドキするのだ

女の子は可哀相な方が可愛いのだ

　

　ブログ．＞　2019年5月　自分のエロ性癖

そう、犯罪行為はしません、レイプしません、学生出しません

こんな事を倫理規定に明記するわけにはいかないのだ

私としては・・

自分の楽しみや、自分の仕事を失う事になるから（ランスとか闘神とかが作れなくなるしな）

しかし、世間一般には、

レイプ陵辱をＯＫですよ、なんて倫理規定は、まず受け入れてもらえない

それどころが

同じ同業者の中には

陵辱系ゲームなんて業界の恥だ、俺達は美少女ゲームであり純愛エロゲーなのだ

犯罪的なレイプとか陵辱なんか禁止すべきじゃないのとか

あいつらのせいで俺達まで白い目で見られて迷惑だ

・・・とか思っている所もありそうだ（あくまでも想像です、被害妄想か）

てな訳で

苦労して倫理規定を作ったのだ

建前をうまく作り、工夫する事で実質いろいろ作れるようにとか・・

大切な要素を守る為にあえて犠牲にした要素もあるけど

ソフリンの倫理規定を見て、なんでこれが規制対象なんだよと憤慨された開発者の方もいるだろうが・・

あれでも大事な核となるエロ要素を守る為にしかたなく規制した物なんだよ

ごめんね、それらの性癖の方・・

ともあれ、

ソフリンが無事に設立して

ある程度、安心してエロゲーが作れる環境が出来た

ランスや闘神みたいなタイプのエロゲーもこれからも作れる

やったー

その後・・・

初期の理事を数年務めた後も約２０年ぐらいは

なんらかの社会的に話題になった事件（性的な物、ゲームユーザー、オタクが犯罪者）が発生し

ソフリンには圧力がかかりエロ規制が求められた時などは

　ロリ、差別用語、スプラッター表記など

　

会議に参加して、自分達のエロゲーに影響が少ない範囲で収まるよう意見を言いに行った

そこそこ業界の重鎮的な立場（エロゲー業界での実績、ソフリン設立メンバー）で無下に出来なかったろうから、そういう立場を利用して

わからずやのごり押しみたいな事も・・

たぶん、迷惑もいっぱいかけたかも

だって、ソフリンの理事会って

各社の社長、営業担当とかばかりで、現場のゲームクリエイターの方とかあまり来ないんだよ

こうなると文句を言われずに安全に売る事が第一で、エロゲーの表現の幅とか犠牲にされちゃうので

とにかく、その場に出て反対をしないと、陵辱ロリ要素を守る人も居ないとと・・

ランスが完結するまで陵辱ゲーを作れる状態は死守しなくはならなかったので

けっこう、自分では、がんばったつもりなのだ。

いろいろうろ覚えだし、時系列もバラバラだし、簡略化しすぎで説明不足もあるので

事実というより

あくまでも私視点（自分に都合よく覚えている事）の思い出話ね

自分のブログだし、ちょっとだけ自己満足というか、自慢ぽいの書きました

「私がエロゲーを守った（いいすぎ）」と

・・・・いや、業界全体の為とかでなく、自分の為だけどね