2021年3月4日木曜日

制作記.リトルバンパイア

 

私が制作に係わったゲーム(3)
思い出メモ


3本目のゲームは、リトルバンパイア

発売日、1988年5月
価格.6800円
ハード、PC88.PC98

※ ちなみに、ヴァンパィアでは無い、私もよく間違う


ゲームの作り方が、大きく変わったのはここから
  • 自分が監督して全権を持てるようになった
  • Yukimiさんと組んで作るようになった
  • ゲームエンジンを使うようになった





それまではゲーム開発は
自分で全てプログラムを組んで、ブログラム内のコードでテキストも書いていた
オールBasic!(もちろん、インタープリター)
そんな作りだったのだが・・


当時、専門学校の同級生にMRG君という化け物がいた
そいつは、パソコンのモニターの光りだけの狭い押し入れの中に住む
訳のわからん基板や古いパソコン(TK80もあった)、大量のフロッピー(違法コピー)、
後 エロマンガと缶コーヒー
食べる物、着る物も、効率重視でいつも同じ

よくアニメで極端に表現される事が多い技術オタク、いやギークと言うような存在
もろ、そのまんまというような奴だった
もちろん・・性格は尋常じゃなく、変な奴である

私自身がプログラム技術が低いので、彼の凄さを計るすべは持たないが
段違いに凄いプログラマーだった・・

で、そのMRG君が、ある日
「こんなの作ったんだが」

それは、彼がCP/M上でPASCALとかCで作った
簡単なテキストアドベンチャーコンストラクションだった

今ではゲームエンジンなんて当たり前だが、
同時の私には、そんな作り方があるなんて知りもしなかったよ

「お前、ゲーム作りのバイトしてるだろ、これ使ってみろよ」

「いいの、面白そう、教えて!」

てな感じで、彼が趣味で作ったエンジンを使う事になった

これが、のちにアリスソフトの開発の中心となるゲームエンジンとなっていく
 ACT > NACT > SACT > system3 > と続いていく


まぁ、私があまりにも低レベルなプログラムでゲームを作っていたので
見ておれんとばかり、友人として助けてくれたのだろう
「ここはお前が考えろ、やり方教えてやるから」
てな感じで、私の分かる範囲の機能だけ作ってくれたりしてたなぁ
たぶん、彼はもっと凄い物が作れただろうが私に合わせて抑えた物にしてたのかも

・・・それでも私には未知のテクノロジー、凄い武器を手に入れたのだった

MRG君は、ランスが発売する頃まで手伝ってくれたかなぁ
X68版とかTOWNS版は、「機械さえ貸してくれたら1月で作るよ」とか言って実際に作ったしな・・
彼にとっては、友達を少し手伝ったぐらいの事であり
その後、どこかちゃんとした大手の技術部門に入社したよ





さて、このリトルバンパイア

私が始めて監督として全権を持って作った初めての物です

まぁ、会社の方針でノンアダルトで作らないといけなかったけど
後は基本自由だったので好き勝手作りました

Yukimiさんがメイン原画(当時は、はかせというペンネームだったかな)
可愛い絵をいっぱい描いてくれた

ヒロインの美樹も、自分で最初に作ったヒロインという事もあって
自分にとっても忘れられない存在です(ゆえにランスシリーズにも出てくる・・



サブヒロインは、ひつじ飼い娘リンダ、かなり好きだったのに
なんでランスとかに再登場させなかったのかな??



他にも可愛い子が沢山、のちにランスシリーズでも登場したりする娘もいる
アーシーもいるよ、アーシーはまんまだね


その他、当時のADVらしい冒険シーン


コマンド選択式のオーソドックスなアドベンチャーゲーム
アイテムの入手、使い所、などが重要なポイント


ユーザーが必ず解けるという作りでありません
難しいというか、わかるーこんなのという作りです
まぁ、それでも当時は簡単な部類だったと思うのだが

そうそう、毎シーンに多数のコマンドがあるので
それに対応する会話や行動を作るのにも限界があって・・
健太郎君が変人奇人と言われちゃうのは、そのせいだったりする


まぁ、とにかく楽しく作ったし
思い出のゲームです

あっ、そうそう、この頃は会社のビルが10時までだったので
その時間になったらビルのおっちゃんに追い出されていたなぁ・・
今考えると無茶な作業していたな、夕飯食って9時頃までするのが普通だったし

まぁ、当然 売れなかったんだけどね
チャンピオンソフトもダメダメの暗黒時代だったからね
( まぁ、だからこそ、私でもゲームを作るチャンスを得ていたのだけど



9 件のコメント:

  1. 売れなかったけど、楽しく作ったゲーム。
    面白いですね。この調子で、楽しく作って売れたゲームのお話まで是非。

    返信削除
  2. 当時、日本橋にPCゲームのレンタル屋さんいくつかありましたよね。毎週のように出るコピーのファイラーと共に陳列。コピーが当たり前の時代。
    たしかそのコピーツール、ウエストサイドでしたっけ?高校生作ったとか聞きました。あの時代、若くて凄い人いましたよね。

    返信削除
  3. アルバイトが全権監督???
    すごい会社

    返信削除
  4. >おっと その前にコインを1枚もらうよ

    占い師が屑で不覚にも吹いたw

    返信削除
  5. 全体的にノホホンとしたノリだったからこそ吸血鬼化していく美樹ちゃんが街の人に冷たくされるシーンでは悲哀さが際立っていたように感じた作品です。エンディングもBGMとともに印象に残っています。

    返信削除
  6. ↑うお、リアル時代のプレーヤーもいるのですね。しかも良いレビュー。
    しかし、今はもう遊べない。ぬぬぬ。どこにいけば。。

    返信削除
  7. なんか、今見てもいいなぁ
    変に凝らずにシンプルな冒険物とか

    作るのに慣れてくれると、不安になって無駄に要素を増やして複雑にしちゃうんだよね

    返信削除
  8. >しかし、今はもう遊べない。ぬぬぬ。どこにいけば。。
    http://retropc.net/alice/
    「アリスソフト アーカイブズ」に行きましょう。

    返信削除
  9. 本当に最近になってランス4やらのおまけになっていたのをプレイしてみたのですが、凄く雰囲気が良くて面白くてぶったまげました。
    主人公が基本自分自身のタイプで、照れ隠しというかギャグというか、独特のシュールさやメタっぽさを持っているところとかは、若い人には二人のキャラ理解が難しいかもしれません。
    しかしその美樹ちゃんのわからなさに学生時代の頃の女性のわからなさがシンクロして、結構な具合にやられてしまいました。
    最初の買い物で後半行き詰まるのはいくらなんでもやってられないのでそこだけはネットの力でズルしてしまいました。
    熱く語りたい好きなシーンがたくさんありましたが、誘拐された公園でその日?の夕方にか二人が戻されて家路につく、エンド表示のあと、なんとも言えない良い感じの溜息が出ました。ゲーム媒体であったが故に、この夢か真か感は突き刺さります。幸福感がウィンドウを閉じさせませんでした。素晴らしかったです。
    当時のゲームのシンプルさが故に、プレイ側の心の裡に広がる冒険感には逆に雄大なものがあったのではないかと存じます。数年後に再プレイしても楽しめそうです。子供の頃に似たようなゲームをやりつけてないと、この甘い郷愁感はわからないのかなあ・・・
    年齢的に古いゲームが性に合います。素敵な冒険の一夜をありがとうございました。

    返信削除