2020年10月15日木曜日

ランス10、初期企画書

 





ファイルを整頓していたら
ランス10の初期企画メモが出てきた

こういうのは大抵、ファイル消去して残ってないのだが
珍しい

ランス10の発売が2018年2月23日で
もう2年半も前の事だし、乗っけてもいいかなと

以下、ランス10の初期企画書です
社内向けのテキストなので、ユーザーさん向けの書き方では無いです
誤字もありますが、当時のまんまにしています
青の部分はコメントというか自分突っ込み

時系列
2013末頃  この企画書制作
2014    ランス9発売
2015    イブニクル、ランス03発売
2016    ・・ランス10開発中・・
2017    ・・ランス10開発中・・
2018    ランス10発売





ランスシリーズ最終作、パソコンゲーム最後の大作
登場キャラ数膨大、等で エロゲーから離れているユーザーにもアピールし
これだけは買っておこうかと思ってもらえる物にする。

宣伝においては、現状のエロゲーユーザーだけでなくエロゲーを卒業した人にも
見える所で行う必要がある

目標販売本数は ******(内緒)
(たぶん、その時期は2.3万売れたら上々の状況と思われる)

予定価格 8800円-9800円、豪華マニュアル、設定付きでもっと高くしても良い

開発予定人月 ******(内緒)
損益分岐点 ********(内緒)
(この計算はおおよその予測)


おおざっぱなアリスソフトですが、企画を作る際には、最低限採算が取れる数字を出します

開発予定人月とは、開発終了までにどれだけの人件費がかかるかという数値です
たとえば、3人で1年掛けて作るとすると  3人*12ヶ月= 36人月となる
まぁ、ランス10とかになるとすごい数になるのだけど・・

ゲームソフトの開発は、この人件費が大半ですが
後(+会社の維持費、+外注費、+宣伝費)なども当然ある程度組み入れておく

そして予定価格から損益分岐点を出します。
( 損益分岐点 = これだけ売れたら赤字にならないよーというギリギリライン )

もちろん、目標販売本数は、それより上で無いといけない訳だ

そう、毎度開発は遅れるので、開発予定人月とか多めに取っておくべきなのだが
売れるであろう数を考えると・・つい
みんなガンバレばなんとかなる
全て予定通り、アクシデントなんか発生しなければ
とかいう予定にしたくなるんだよね(旧日本軍的思考)

・・・いやいや、ちゃんと冷静に判断して計画立てていたよ
└|∵|┐ いや、ほんとだよ、これでもベテランだから私!



開発スケジュール(初期プラン)
2014/4頭 本格開始
2014/12末 アルファ版
2015/12末 ベーター版/発売日確定
2016春頃発売予定


ん、2016年春発売??
実際に発売されたのは2018年春なので
予定より2年遅れている、いや、さぼった訳じゃないんだよ。

うーん、なんかあったんだよ
そう、こういう予定は ズバズバとずれ込んでいくんだよ
ランス9,ランス03も遅れてたし
後、イブニクルを作っていたな

実際に本格的に開発がスタートしたのは・・
イブニクルが終わってからだから、
2015年春あたりからだけど
それでも、やっぱ3年掛かっているね



特異点要素(自社、同時期ゲームと被らせない要素)
・カードデッキ型RPG
・親子二代の物語
・数百万レベルでの死者が出る大規模感

●最後のランス、パソコンエロゲー最後、それにふさわしい規模
イメージとしては 鬼畜王ランス

ユーザーに驚きと刺激を、遊んでもらっている時間を無駄にしない作り

少々雑でもいい、規模を優先する
(分量については制限を設けない、開発チームでやれるだけやる)
業界の変化、売り方の変化、大きな波が来ているが、何も考えない
従来通りの形で大作として製作する(これが最後)


●やり込み要素
ユーザーが長時間遊べるように徹底してやり込み要素を入れる
周回前提の作り
※これらはやり込み要素として用意するのでなく、自分達が実際に長時間プレイして
※欲しいなぁと思う要素を作って入れていく

●えろげーである事
エロシーンが目的な作りは当然とするが、エロだけでなく
通常ゲームでは出来ない、背徳感、無茶苦茶、な展開を入れる

ランスのエロに拘らない(陵辱系のエロはもうランス本人では難しい)

●多田が自分が1番良いと思う物を設計しブレない事。
"ごっこ遊び" ゲームというより、積み木のようなごっか遊び感覚を重視
単純で分かりやすい事
イベントの長さは少な目にして想像力でカバーするタイプとする(ただし、イベント総数は多く作る)

●アペンド、追加要素を考慮しない
正確には追加要素が作れるような設計にはしておきたいが、ネタの出し渋りは無しで
これしか作れないくらいのつもれで、全て出し切る

●キャラは多数
出来るだけいっぱい出す

●広報戦略
開発が半分過ぎないうちに広報計画も立てて動きます。
広報に出しやすい要素、ユーザーが話題に出来る要素、隠しておくもの、見せておく物

無料のプレシュード版を出す、本編に繋がるランス9の後のストーリー(体験版では無い、本編にないオリジナル)
これはこれで短いながら1本完結している
ゲームシステムのテスト(ユーザーへの様子見)
無料で出す事でランスから離れていたユーザーを引き戻す、または知らない人にも見てもらう
最後には予告編(映画みたいに かっこいいシーン、気になるシーンも次々と出す形)
特別版、1万以上、設定ブックレット(どこか業者に依頼する必要あり)
最後ゆえに出せる記念品的な物、
また、ランスシリーズ全てを入れたバージョンなど

●プログラム
セーブデータは独立した形で持たせ互換重視とする
可能ならMod、アペンドが作れる設計にする
シナリオ、データ等が外部ファイルで用意され読み込んで使う形
CG等も追加したら、ファイル単位でも読み込み可能としておく
ゲーム部分は最優先で開発を行い、つまらなかった場合は作り直す


●優先キャラ
ランス10に置いて立てていく優先キャラ
ランス、ケイブリス
シィル、サテラ
クルックー
リア、マジック、シーラ、香姫、コパンドン


「出来てないやん、違うやん」
と言われるポイントがありますが・・

まぁ、計画は・・計画
企画書段階では、
あんなこといいなぁ
出来たらいいなぁ
と夢いっぱいなんです

で、実際に作っていくうちに
少しずつ無理な部分を削っていくだよ
現実に出来る物にしていくと



●問題となる点

登場キャラが無茶苦茶多くなるが、音声を入れるのは可能かどうか

カード型のブラウザーゲームぽい、チープと思われないか?
ただ、壮大なストーリー、多数のキャラを見せる為には、この落とし所が1番と思われる
シミュレーションにすると分岐がメインとなり見せたい物語に焦点を当てれない。

2015年末、ないし、2016夏
そこまで、パソコンエロゲー業界が持つかとどうか・・・



この企画書は、2013年末か・・2014年頭に書いたと思う

この頃の私は、もうパソコンエロゲーは限界だろう(特にパッケージ販売)
早く作って、早く売らないとランス10が出せない
作っても売れない状態になる
と焦っていました

2016年あたりが限界かなぁと・・・

まぁ実際は、2018年でも、業界は大丈夫だったのだけどね
よかったよ、ほんと

あっと・・これって企画書というより、計画書?だね。
実際のゲーム内容なシステムには一切ふれてない、それ以前の段階のプレゼン資料です
・・まぁ、計画作るのも私だったら、許可するのも私だったりだが・・




13 件のコメント:

  1. 2018年でも大丈夫だったのは自分を含めてランスの結末を見届けるまではエロゲーを続ける層がいたのもあると思います。実際ランス10を買ってエロゲーを卒業
    というか一区切りにした方は結構います。

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    1. 2018年まで待っていてくれた方には感謝しか無いです
      ありがとう

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  2. 卒業、という訳ではないですけど、一区切りというのは確かにそうかもですね。
    イブニクル2は大怪獣ぜんぶ倒すほどには堪能しました。
    ドーナドーナは悩み中。(公式通販も郵便振替じゃなくなったのの一発目なんですよね。購買意欲に影響あり)

    寝食忘れてゲームに没頭するというのが、鬼畜王に始まって大悪司、ランス6、
    戦国ランスと続いて10数年ぶりだったのでランスⅩは本当に満足のいく作品でした。
    振り返るとPCゲーム(エロゲに限らず)の全盛期に楽しめた世代はラッキーだったのかもですね。

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    1. 自分も、業界の始まりから一区切りの所まで一時代を併走できて幸せでした。

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  3. ランス10でエロゲー業界の大作は終わってしまったんではないかと思った。
    長くエロゲーをやっていて批評サイトで100点をつけた唯一の作品だし、
    おそらくこれ以上の作品はもう出ないだろうなぁと感じた。
    それぐらい思いの強さを感じたし、熱い作品と思いました。
    という事でスピンオフ作品をやりたい(ぉぃ

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    1. ありがとう

      スピンオフか・・私もしたいなぁ(誰か作ってくれないだろうか、私のやりたい物を・・・)

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  4. エンディングを見てこれでランスの物語は終わりですという確かな意思を感じました。ランスが終わるということは他のエロゲーブランドの方々も業界が変化する節目を感じたのではないでしょうか。ちょっと前にゲームシステム性を押したブランドの会社も撤退されて残念です。

    ランスシリーズはすべて遊びましたしシリーズ補正もあるかもしれませんがランスXは今まで遊んだすべてのゲームの中でもトップクラスに面白かったです。
    ランスシリーズにであえてよかった。ありがとうございました。

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  5. ちょうど、今日、ランスx終わらせました。
    公式通販で予約して買ったのに。
    ケーちゃんをやっつけるまではやってたんですが、
    、鬼畜王くらいからはやってるので、もったいなくて、さびしくて、
    終わらせられなかった。

    ふと、先週あたりからやりたくなって、今日、仕事休みだったんでがっつりやってエンドロール見ました。
    泣きました。本当に終わったんですね。ランス。
    年表で見るとランスとシイルはほんの数年の付き合いなのですね。でもやはり、ゲーム終了時点ですら、30年寄り添った感があります。

    もう、子供を持つ身ですので、二部は自分が主役ではなく常に親目線で、
    可愛くて仕方ありませんでした。

    今までありがとうございました。
    自分の核の部分を作ってくれた作品群だと思っています。

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  6. おお貴重な資料ですね。
    ランス10は本当に面白かった、昔みたいに徹夜で遊ぶには体力と翌日のことを考えてできなかったですけど、できるならきっと徹夜してたと思うくらいには。
    ランスがシィルに素直な気持ちを伝えた時点で「あっほんとに終わるんだ」と思ってしんみりしたんですけど、やっぱ作品は終わってこそ、なのでちゃんと描ききってシリーズの完結を見せてもらえたのはめっちゃ嬉しかったです。

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  7. それでも正規品に対し極端なブレがないのはさすがにすごい。

    10でこのゲームが生易しい物ではない、と突き付けられたのは
    10以前に凶悪なもしも組み合わせで挙げられていたアニスレッドアイが初魔人戦だったということと、
    3ターン目で早々に死亡判定が入るツェール姉妹のイベント。
    本当にこのあたりのデザインはさすがと思いました。

    ランスシリーズのMOD……やっぱりなんだかんだでクエストが一番
    MOD差し込みやすそう。

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  8. 音声は今更あってもなという感があったから無くて良かったと思う。
    今まで音声無しでやってたからリメイク版はまだともかく、
    本編は仮にキャラ数が少なくても音声無しのままの方がやっぱり評価が高かったんじゃないかなあ。
    あと、カードはやっぱりブラウザゲーを思い浮かべるんで、何とも微妙な感じがしてた記憶はある。

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  9. 1本で非常に満足させる完成度高い作品なのですが、ファンとしては終了は悲しいです。ファンディスク商法、あえてしてほしかったです。
    またランスシリーズを愛したクリエイターは山といるので他社や同人もショート作品の制作参加できるシステムとかあればいいのに。

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  10. 物凄い今更ながら、そういえばまだやってねー!クリアしてねー!と先月購入しまして、2年遅れでランスX及びシリーズの完結を確認して参りました。
    第1部で「ハッ??」ってなって、第2部で含むED初見で3回泣きました。
    シリーズ追っかけてた身としてはもう色々良すぎでしょうと。やっぱりランス君とシィルちゃんにはあああって欲しいという気持ちが爆発して号泣でした。
    魅せ方がずるいとしか言いようがないなぁと。

    グランドエンディングで3回目の号泣。ちゃんと完結して頂いて、有難う御座いました。

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